県立図書館の資料収集・整備について

 

「県立図書館では、どんな本を、どのようにして選んでいるのか?」といった質問をよく受けますが、以下にその概要をお知らせします。

なお「図書館資料」とは、図書のみではなく、雑誌や新聞、地図、視聴覚資料、紙芝居、そして最近急増しているCD-ROMなどの電子資料までを含みますが、現在の公立図書館の中心的な資料はやはり図書ですので、それを重点に述べます。

県立図書館が所蔵する資料は、図書を中心に平成12年3月31日現在で合計633,827点です。

これは、県立図書館が創設された昭和4年から今日までの約70年間にわたって蓄積されたものです。

近年は毎年度約2万点位ずつの増加ですが、市販・流通している新刊図書のみでも年間6万点以上もありますから、まだまだ努力の必要があることはたしかです。

ところで、都市部の大きな書店に行くと沢山の人々で賑わっているのをよく見かけ、資料・情報が強く求められていることを実感すると同時に、新刊書への要求の強さを痛感しますが、本県のように山間部を多く抱え、文化的に恵まれない地域にこそ豊富で新鮮な資料・情報を、そしてそれらを収集・提供する専門機関としての図書館の整備充実を、との指摘はもっともなことに思われます。なぜなら資料・情報は同一物ならどこで接しようと内容に格差はなく、誰もがいつでも好きな時に享受できるという特性があるため、他の文化・芸術関係事業などと比較して都市部との格差解消は容易だからです。

さて、図書館ではどんな本を、どのようにして選ぶのかということです。

公刊された本はすべて収集するというのが理想ですが、与えられた条件がありますので厳選が必要です。

そこで、当館では収集のもっとも基本となる『福島県立図書館資料収集基本要綱』という指針を設けると共に、それを年度毎に適用・展開した年度方針を設定して、客観的で効率的な収集を心がけています。

基本要綱においては、まず基本方針を「…県民の多様な情報・資料要求に的確に対応する」ため「県民の生涯学習を支援し、教育、学術及び文化の振興と普及に役立つ資料を収集する。」と定め、県立図書館としての任務と役割を果たすために必要な資料収集に、どのような考えと基本姿勢をもって臨むかを明らかにしたものです。

続いて資料別収集方針により、その種別、内容、水準など、選定を行う際の一般的基準を設けています。

すなわち、収集資料を、主として図書館内のサービスで用いる「館内用資料」と、専ら読書普及や市町村読書施設振興への協力・支援に用いる「館外用資料」とに2大別した上で、さらにそれらを資料種別毎に細区分し、それぞれについての選定基準を定めています。

言うまでもなく、図書館資料は利用されてこそ意義があるものなのですから、できるだけ多くの方々の要求に沿い、役立つものを選ばねばなりません。これらを「利用価値」の高い資料といっていますが、図書館の社会的役割を考えると、これだけでは不十分です。

図書館は公平に、あらゆる人々の資料要求にも応えると共に、知的文化遺産である資料の保存センターとしての役割も担いますから、現時点ではそれほどの利用が見込めないものであっても、内容が優れており、後世に残すべきものと判断される場合は収集に努めます。これらを「資料価値」の高い資料と称しています。

従って、どんな本を? との問いに対する回答は「利用価値・資料価値共高い」資料を当館基準に則って選定する、ということになります。 次にどのようにして選ぶのか? ということです。

現在当館は主題別のサービス体制をとり、資料主題を中心においた専門部門毎に収集と提供を行っています。

具体的には、人文科学、社会科学、自然科学、逐次刊行物、郷土資料、児童・児童図書研究及び館外奉仕の7部門です。そして資料選定に当ってはこれらの部門に全職員をそれぞれ3から4名ずつ割振り、利用動向や出版情報、書評などを検討しながら選書します。

さらに、ここで選定されたリストにより、各部門の代表者で構成する資料収集調整委員会が第3次(全職員―専門部門―委員会の3段階)選定を行い、決裁を経て決定となります。

また、皆さんの声を直接反映させるための「リクエスト制度」もあります。

予算的制約は避けられませんが、お役に立てる、魅力的な資料の収集に努力を重ねていることをご報告します。

<資料課>