資料の紹介【CD=ROM編】

 

近年の、コンピュータやインターネットの著しい普及は、本など紙媒体以外の情報記憶媒体を生み出し、一般化させました。図書館においても、情報提供のためのツールとして活用することで、サービスの広がりと効率化を可能としました。今回は、その中から、当館が所蔵する、主なCD-ROMについてご紹介していきます。

 

新聞・雑誌コーナーから

新聞記事の検索

新聞記事を、原紙や縮刷版から調べるとき、その掲載年月日が重要なキーワードとなります。いつ頃の記事か忘れてしまった場合、検索に一苦労ということも少なくありません。そんな時、記事検索のできるCD-ROMは非常に効率的であるといえます。

データベース化されている全国紙はいくつかありますが、当館では「朝日新聞」を所蔵しており、『朝日新聞戦後見出しデータベース』(1945から1999)及び『朝日新聞記事データベース』(2000・2001)により、1945年以降の記事を検索することができます。

また地元紙では、「福島民報」が、2002年8月からCD-ROM化されました。この『福島民報縮刷版(CD縮刷版)』は、従来の縮刷版が切り替わったものです。1枚のCD-ROMには、月単位でデータが収められ、1ヶ月間全ての記事が、紙面単位でそのまま、カラー紙面はカラー画像で見ることができます。

平成二〇〇二年七月分までは、従来の縮刷版もしくは原紙をご利用いただくことになります。

雑誌記事の検索

雑誌掲載の記事検索には、次のようなCD-ROMがあります。

『国立国会図書館雑誌記事索引』(1975.1から2002.12)

国立国会図書館が所蔵する雑誌のうち、学術雑誌を中心に、約9千6百誌の目次情報を収録したものです。論題中の単語、著者名、雑誌名などで検索することができます。

『大宅壮一文庫雑誌記事索引』(1988から2001)

こちらは、週刊誌や女性誌、総合月刊誌を中心に収録しています。思いついた言葉で引ける「フリーワード検索」や、「雑誌ジャンル」「人名」「職業ジャンル」「記事種類」など、多様な検索が可能なことも特徴の一つです。

ご紹介したこの2つは、学術雑誌の記事検索なら「国会の雑誌記事」、一般誌の記事検索なら「大宅壮一文庫」と、調べる雑誌や内容によって使い分けると便利です。なお、「国会の雑誌記事」は2002年10月より、国立国会図書館のHP上で公開されています(収録時期は1948年以降)。ご自宅のパソコンからも無料で利用できますので、興味のある方はぜひお試しください。

http://opac.ndl.go.jp/Process

 

人文科学コーナーから

『新編国歌大観』

冊子体で刊行されている「新編国歌大観」全10巻、1,162集の勅撰、私撰歌集本文(約45万首の和歌を収録)と解題を収録しています。句検索・語彙検索・歌番号検索が可能で、探したい和歌の一句がわかれば、全文、収録歌集、作者などが確認できます。このCD-ROMにより、和歌研究の基本資料、全10巻20冊を手に取ることなく、即座に検索することが可能となりました。

『弘文荘待賈古書目』

古書肆「弘文荘」の反町茂雄氏が、創業当時から顧客に送り続けた古典籍・貴重書の販 売目録「弘文荘待賈古書目」(昭和8年第1号から昭和59年第50号まで)を中心に、弘文荘の出品が確認された77冊の目録の全ページを、デジタル画像化し収録したもので す。

書目数は約2万点に及びます。和書だけではなく、洋書の稀書も多く掲載され、各書目 には詳細な解説文が付けられています。「書名」「人的関連」「宛名」「原本種別」「ジャンル」「掲載目録名」「発行年」などからの検索が可能で、冊子体の「総索引」「善本図録」も付けられています。

『出版年鑑+日本書籍総目録』

これまで冊子体で出版されていた「日本書籍総目録」(日本で流通している書籍の唯一の総目録)を、2002年度からCD-ROMに完全移行し、「出版年鑑」と合体して刊行したものです。2001年12月31日までに、国内で刊行され、かつ入手可能な書籍61万点を収録しています。

インターネット上でも、「Books. or .jp」として提供されていますが、CD-ROMによる検索は、書名・著者名・シリーズ・発行所・発行年順等で並べ替えをすることが可能です。

 

社会科学コーナーから

『リーガルベース判例版(判例版・判例コメント版)』

現代日本における裁判の判例を検索することができます。

判例版では、最高裁が発足した、1947年以降の公式判例集及び判例雑誌に登載された全判例約十万件を、「必要全文」「要旨」で収録しています。コメント版では1974年以降の、「判例タイムズ」に掲載されたコメントのフルテキストを収録しています。

任意語による検索、関連法令(何条・何項等指定可能)からの検索、書誌(裁判日付・裁判所・法廷名・関係者・出典など)検索などの機能があり、たどり着いた判例からのコメント参照も可能となっています。特に、任意語による検索は、法律用語のほか、普通に使う言葉(事実用語)で検索可能なため、判例を内容から探したい場合に有効です。

年に2回更新されます。

『現行法令』

現行法令を体系順、50音順に収録した総合法令データベースです。

現行の全法律・政令・省令並びに最高裁判所規則、人事院規則ほか各行政委員会の規則など7千件の他、国内法令に関連の深い72の主な条約を収録しています。

引用・参照条文にリンクが付いているほか、索引機能も充実しています。法令名の一部や略称で検索ができる「法令名索引」、キーワードで検索ができる「全文索引(公布年月日と法令種別も掛け合わせ検索が可能)」、「年月日別検索(公布・改正)」など各種検索のほか、いつの内閣・国会で成立したかを調べることができる「内閣・国会別検索」があります。それぞれ体系順、50音順、公布順でソートすることができます。

年に4回更新されます。

『日本の食生活全集 2000』

冊子体で刊行されている「日本の食生活全集」全50巻の内容全てを収録したものです。写真や図などは約1万5千点に及びます。

「日本の食生活暦」では、都道府県ごとに、各地方の日常食、季節の行事関係食、独自の素材などを見ることができます。また、様々な角度から内容を見ることができる全文検索機能もあり、任意の語で検索可能なほか、用語集ファイルから用語を選択して検索することもできます。

 

自然科学コーナーから

『理科年表 2003』

国立天文台編集による「理科年表」は、 自然科学系の基本的データブックと言えます。1925年から発刊され、現在第76冊を数えます。暦/天文/気象/物理・化学/地学/生物の六部からなり、それぞれに数値類や図表、統計などを収録、総項目数は6百を超えます。

この76冊分のデータを全収載したものが標記のCD-ROMとなります。カラー画像の収録や検索の簡便さはもとより、書籍版との大きな違いとしては、データのグラフ化や並び替え、日本地図上での表示など、データの再編集が行えることにあります。

『原色牧野植物大図鑑』

牧野富太郎博士により、「牧野日本植物図鑑」が刊行されたのは1940年のことです。その後、補遺改版及び、改訂増補を経て、2000年にはその新訂版が出版されています。また、改版の図を原型に彩色した「原色牧野植物大図鑑正・続」もあり、こちらは、1996から97年にかけて改訂、彩色をし直すとともに分類大系の統一化を図っています。

このCD-ROMは、前出の「新訂版牧野日本植物図鑑」及び「改訂版原色牧野植物大図鑑」に掲載されている、4,256種の被子植物データベースです。花の名前や分類体系での検索は勿論のこと、「花の色」や「葉の形」「おしべ・めしべの数」など、植物の特徴からも検索ができます。解説文の植物用語は、その場で用語辞書を起動させ、意味を調べることができます。

『VR浮世絵展示室』

東京農工大学附属繊維博物館が所蔵する、「蚕食錦絵」6百点を収めたものです。蚕食錦絵とは、養蚕や織に関する浮世絵で、蚕の誕生から織物ができるまでの工程や、蚕に関する神事などが描かれています。作者の中には「喜多川歌麿」などの名も見られ、美術的に高い評価を得ていますが、それだけに止まらず、養蚕の技術や民俗的な史実などにおいても貴重な資料とされています。

また、VRとあるように、浮世絵展示室内を、さもそこにいるように、バーチャル感覚で体験することもできます。

以上、各分野よりご紹介いたしましたが、CD-ROMは、館内でのご利用に限らせていただいております。ご利用の際には、各カウンターにお尋ねいただきますようお願いいたします。 〈一般資料・逐次刊行資料チーム〉