福島の蔵書印 その35 鈴木俊夫の蔵書印

 

鈴木俊夫の蔵書印


2003年2月に、須田将司氏より、地域史研究家であった祖父・鈴木俊夫氏(1911~1979)の蔵書の一部(約1,200冊)を当館へ寄贈していただいた。

鈴木俊夫氏は飯野町で生まれ、1928年旧制福島中学校を卒業後、飯野町の小・中学校で教鞭をとるが、1952年に病気により退職し、療養生活に入る。

療養中に『疣石峠の話』執筆のための調査研究を始める。五年の歳月をかけ、友人の斎藤利雄、大内力哉などの協力もあり、無事に出版することができた。

その後、『福島県史』、『福島県議会史』、『川俣町史』の編纂事務に従事。寄贈資料にも、編纂過程の原稿や資料と思われるものがある。また、『川俣町文化財保護委員会』等の資料もあり、同町文化財保護審議会委員としての活躍も窺われる。

飯野町では、文化財保護審議委員として町史資料集の発刊、史談会会員として『広八日記』の発行に携わった。1973年に同町教育委員会の推薦により、財団法人日本顕彰会より表彰されている。また、1984年の飯野町文化祭で「第3回飯野町先人展 斎藤利雄 鈴木俊夫二人展」が開催された。

当館への寄贈資料には、会田毅詩集『手をもがれてゐる塑像』(北方詩人会)、福島中学在学中の『信夫草』(福島中学校校友会)などがある。『信夫草』の第30号には本名やペンネームで作品を発表している。また、この号に名前がある華雅美迷路氏編集の『春宵 No.5』(春宵社)を印刷しているのは「鈴木十四尾」(鈴木俊夫)である。

上掲の蔵書印は『いたどり』(いたどり社)より採録した。編集は歌人の山本友一で、福島中学時代の同級生である。創刊号~VOL.2,NO.8までが寄贈されている。

参考文献

  • 『第3回飯野町先人展 斎藤利雄 鈴木俊夫二人展』 飯野町文化団体連絡協議会 1984
  • 『疣石峠の話 享保十四年信達農民強訴物語』 鈴木俊夫/著・発行1957 鈴木英一/復刻発行 1984
  • 「ふくしまの名著42」 菅野俊之/著(『文化福島 237』 福島県文化センター 1991)